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シンガーソングライター yoko nagaiのブログ

2ndアルバム制作

ニューアルバム"Midnight Kingdom"リリースによせて

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夜 眠りにつく前の時間が好きです。ラジオから流れる音楽に心を揺さぶられたり、好きな本の温かい語り口に励まされたり、映画の主人公に自分を重ねて一緒に涙したり・・・。

幼い頃から、真夜中の王国で出会う人やメッセージと幾度となく向き合ってきました。その時間の積み重ねが、私の歌を作る大きなきっかけとなっています。そして、生まれた歌はやがて部屋を飛び出し旅をして、多くの人との対話によりさらに変化をしていくもの。

2013年冬のとある真夜中の王国。私は、人と人の心の通い合いが「音楽」を通して伝わって来るようなものに出会いたいと思ったことがありました。刹那的な偶然体験のフラッシュバックではなく、それに触れさえすれば、いつも同じような感情が蘇るような半永久的な何か・・・

繰る日も繰る日もそのイメージはどんどん膨らみ、やがて、求めているものを探し当てるより、自ら創った方が早く出会えて、もっと近くに感じられるものになるのではないかと思うようになりました。それから約半年間、真夜中の王国で、私は自分なりの歌詞と旋律を紡いでいきました。

親密な雰囲気を生演奏で表現する場所に選んだのは、かつて暮らしていた私のもう一つの王国、イギリス・ブライトン。昔トラムの駅舎だったという煉瓦作りのスタジオ。蔵の中からヴィンテージマイクを取り出し、ちょっとだけ音の外れたアップライトピアノ。臙脂色のカーテンを引き、ペイズリー柄のカーペットにスタンドランプ。生のレモンをスライスして作った温かいお茶と大好物のフラップジャックを片手に始まったセッション。息の合う私たちらしい、そのままのオーガニックサウンドに包み込まれる体験をしました。2014年春の、とある一日のたった8時間の出来事です。

その音源は後日、郊外の農場にあるトレーラーに構えたデスクで、太陽光パネルで蓄積された電力を頼りにミキシング。小鳥のさえずり、青空と曇り空の繰り返しに、気持ちもチューニングを続けながら王国を築いていきました。

再び自分の真夜中の王国に戻り、編集に約2年もの時間を要したのは、あの6000マイル離れた異国での8時間の体験を、あの部屋にいた人と人の心の通い合いや空気感を、そのまま「音楽」にのせるための試行錯誤があったから。そして見つけました。録音recordingとはすなわち、その場の全てを「記録」すること、そしてlive recordingとはまさに、「生きた証」なのだ、と。

私の極めて個人的な趣味の世界に、人を招き入れたことにより生まれたアルバムが今作”Midnight Kingdom”です。王国はたった一人で守り抜けるものではなく、その連鎖は永遠に続きます。良い時も、悪い時も・・・

今宵あなたの王国が、より親密な「生きる証」となりますように。

2016年秋
yoko nagai

imageMidnight Kingdom(2016)
yoko nagai

1.Midnight Kingdom 
2.Devil’s Dyke
3.Castle Of Tears
4.Soul Messengers
5.Free Flight
6.Midnight Kingdom(Tails of Tales)


Apple iTunes

Amazonデジタルミュージック
Google Play Music
その他フライヤー内ロゴのストリーミングサービスよりリリース


開けゴマ!真夜中の王国へようこそ。

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ついにこの日がやって来ました。私の足かけ3年に渡るアルバムプロジェクト。ついにみなさんにお届けできることになりました!

アルバムのタイトルは 「MIDNIGHT KINGDOM」です。

ミッドナイト キングダム、真夜中の王国とは、誰もが持っているだろう、個人的で親密な時間のこと。一日の中、人は色んなペルソナ、社会的役割を担って生活していて、どの要素もその人を語る1ピースではある。そんな中、一人で過ごす真夜中の特別な時間こそ、その人の明日を導き、未来への生き方を形作る一歩となるもの。その空間こそ、一番その人の人となりや好みやセンスが多いに表現される自由な世界。自分だけの王国なのです。

アルバムの構想が生まれてからのこの3年間、私自身の生活のスタイルも人生観も曲を書いた頃とは変わってきてます。でも何でもそうですが、機が熟すほどに、始めたときの鮮明なビジョンや熱い思いに何度も立ち返る。そうして作り上げていくと、この時間はしかるべき時間でした。

収録曲6曲全て、私の真夜中の王国で書かれたものです。王国の繁栄と衰退、夢のあとさきに見えた景色、心の戦と表裏一体の愛と憎しみの本質、歴史や偶然に引き寄せられた存在の意味など、私の心の王国から生まれた6つの寓話でもあります。

11月4日デジタル配信リリースです。秋の夜長に、是非お聞き下さい!

yoko nagai

6000マイル先彗星からの贈り物

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 私が尊敬してやまないミュージシャン、プロデューサーのDan Leaversの新ユニットThe Comet Is ComingがLEAFレーベルからデビュー!そして日本でもP-VINE recordsからアルバム"チャンネルスピリッツ”が発売になりました。

 私は、敢えて日本版を買いました!斬新なこの音楽が、今のこのタイミングで世の中に出て、色んなメッセージを込められている気がする。とライナーノーツに書かれていて、ユニット名もThe Comet Is Coming(彗星がやってくる)ということもあり、別の宇宙からやってきた様な世界に描写されている。ライナーノーツに書かれたことが、私の知っている10年来の友人のブライトンでの情景と重なって、感無量。

 私がかつて洋楽を聴き始めた頃、英語もよく分からないので、まず日本版のライナーノーツから色々勉強させてもらって、海の向こうにある世界を想像していたから、このThe Comet Is Comingのライナーノーツは、私が以前経験した世界が先にあって、それが時を経て第三者の文章によって蘇るという逆の構成になっていて、感無量。大人になるって、なんて面白いのだー(最近、過去との対比や時間の流れを感じることにハマっている私)笑

 多分、彼らはこのライナーノーツの内容を読んだら、笑うだろうなと。いつでもどこでも、ただ自分たちが好きだと思えるものをやってきただけ、だから。もちろんDanもMaxもそれなりに、クレイジーな人達ですが。

 image そんな活躍中のDanが、その合間を縫って、また私と一緒に音楽を作ってくれた!!7月はアルバムの核となる1曲を、素晴らしく仕上げてくれて、今回は、またあらためてDanの仕事に感動したことがあり、それはどんな仕事にも通じる大切な精神なので、ここに残しておきたいと思います。

 気さくで才能豊かでセンスもあるDanに心からの信頼を寄せている私ですが、実はDanと曲に取りかかるとき、1回目で「これだ!完璧!」となったことがないことに気付きました。

 音楽ってやはり好みによる部分が大きく、正解はないからこそ、最初はとても抽象的な表現で「うーん、何か違うんだよねー」というときの方が断然多い。でも、そこからがDan Magic! 彼は相手(ここでは私)の意見をまず聞き、そしてそれに対する質問などもしないで、「オッケー分かった。」と返事する。そしてほんの少し時間(それがたった1日だったりする)を置いただけで、次に持って来るものが、1回目と全く違うものであり、さらに私が求めていたものなのです!

 どうして、こんな変化が短時間のうちにできるの!?そして、それをまず1回目に持って来ないところも、なぜか「粋」です。仮に彼が、始めから2つ用意していたとしても、その出す順番が絶妙に私の気持ちを高めてリンクするの。

 これは本当にマジック。魔法にかかったようで、自分の曲で心がとっても熱くなっている自分に気付き、一人感動している。。。極上の時間ですね。

 1曲仕上がった今、また私はDanが元の彗星に戻るのを見送った気持ちで、ちょっぴり寂しいのと、作品を作る前にはなかった感動や勇気の余韻に浸っています。

 そして、最近は、嬉しいことがあったり、感動を覚えたりすると、その気持ちを私からもお返ししたいと思えるようになってます。実はこんな気持ち、わがままし放題の今までの私にはなかったよ。。。大人への階段上がってるのかなー
 
 私もDanのように誰かにマジックをかけられる人でいたいです。次の作品が、誰かにとってのそんな魔法になりますように、と。

Keep Calm and Carry On. 未来のリスナーのみなさんへ。

image あっという間に2016年も半ばになり、一昨年より取り組んでいる次作の発表の目処が立って来ました。2014年春にシングルをリリース後、渡英し、レコーディングをしてきて、2年という月日が経ちましたが、その間も大事にあたためて、あたためて、磨いて、見つめ直して、またあたためてきたとてもとても大切な楽曲たち。この秋頃にはみなさんにお届けできるようになりそうです!

 服や味覚の好みの変化があるように、聴きたい音楽も変わって来ることがありませんか?それって何となくそのときの自分が求める人間関係や、物事との距離の取り方、付き合い方、しいては生き方に拠るものが大きいと思うんです。
 
 私は、それが、自分の作品作りにもとても大きく影響していて、10代、20代の頃にストレートに歌ってきたことが、自分の成長と共に自分の言葉じゃなくなって真実味を感じなくなるという時期を迎えてます。デビューアルバム"girl"から6年。この先また一つ何かを掴みたいと思ったとき、今までの延長で手に入るものにはもう満足できなくなってます。。。次のチャプターに行きたいなら、見つめ直すべきものはアプローチ法や物事の考え方そのものを、今までと180度転換することなのか、と。

 かつて、私の大好きなシンガーソングライターSTINGが、インタビューで「男も50になると、愛について語ってみたくなるのさ。」と言っていて、なんて素敵なんだろうと思ったことがあります。歳を重ねることがとても羨ましくなった瞬間でした。大人になるということは、今よりもっと思慮深い世界が待っているんですね。年数を重ねれば重ねるほど、発表する作品の数が増えれば増えるほどハードルが高くなっていく。歌の世界だけじゃなく、どんな仕事でも、そういうものでしょう?その流れに乗って行くことが人生の醍醐味で。

 キープ・カーム・アンド・キャリー・オン。イギリスに行くと至るところで見られるこのスローガンは、元々は、イギリス政府が第二次世界大戦前に国民に向けて打ち出したメッセージ。

 「落ち着いて、自分のやるべきことをしよう。」未来のリスナーのみなさんへ、私からそんな思いを込めて。

yoko nagai

音楽と人、つながる、つながる、つながる。

11816089 私のデビューアルバム"girl"をプロデュースし、私が敬愛してやまない友人の一人Dan Leavers。彼とドラムMax Hallet(girlでも1曲参加してくれてます)のデュオ、Soccer96がなんとあのハウス界のレジェンドDJのDanny Krivitにリミックスされ、この夏リリースされました!すごい快挙。このニュースは、本当に嬉しくて、感激です。

というのも、このつながりに鳥肌が立つくらい自分の歩いて来た道を重ねてしまい・・・個人的に強い思い入れがあるのです。




yes 遡ること1998年。好きなシンガーソングライターの柿原朱美さんが、レコード会社を移籍して発表したアルバム"yes"。テレビのインタビューで、このアルバムの制作秘話を聞いた高校生の私。このアルバムは後の人生(といっても過言ではない!)を変えてしまうくらいの、衝撃的な作品となった。

 レコード会社から、「お金は出すけど助けないから、全て自分一人でアルバムを作ってみなさい」と言われた柿原朱美さんは、自分が好きなアルバムのクレジットからミュージシャンやエンジニアにコンタクトを取り、デモテープを持って交渉し、ロンドンへ渡り、レコーディングをし、ミックスをし、マスタリングをし、一枚のアルバムを完成させた。そしてその後、彼女は2枚目をLAで、3枚目をNYCで制作した。

 このとき私はカナダのヴァンクーヴァーに留学中で、日本を離れ海外へ出て新たな世界を切り開いて行こうという姿に共鳴した。私がカナダから帰国した頃、柿原朱美さんは3枚目”Love”をリリース。そのパーティが2001年8月、中目黒で開かれたとき私も参加して、ちょっとだけご本人とお話できた!

AKDannyKrivit その後彼女はアーティスト名をAKにし、9月にNYCに移住!そして運命のパートナーとなるダニー・クリヴィットと出会い、2007年に婚約。

 その報告を私が彼女のブログで読んだのは、"yes"に憧れてイギリスに渡り、ブライトンで留学が始まって3ヶ月経った12月だった。

 年が明けて2008年。私はイギリス留学中にアルバムを作ろうという気持ちが固まった。さあ、どのように始めようか、そのときもちろん参考にしたのが、柿原朱美さんが97〜98年やっていた"yes"の制作のためのネットワーキングスタイル。自分の好きなアルバムのクレジットをリサーチして、スタジオを調べ、交渉したり、賛同してくれるミュージシャンとの出会いのためにセミナーにギグにパブに色々なところに顔を出して、つたない英語でも熱意を込めて話しかけて顔を売った。

PC070076 そして9月、私はダンと出会った。今まで自分で演奏して、サウンドやアレンジをやっていた私にとって、プロデューサーを付けるという選択をしたのは、自分の未知の可能性を伸ばしてもらって成長したかったから。その思惑通り、ダンとの制作は、目から鱗が落ちることだらけのもので、音楽の面白さを改めて知ったし、深さをいっぱい感じさせてくれるものだった。今の私を大きく支える、なくてはならない出会いと貴重な経験。

 girlの制作中、ダンに"yes"を聴かせたことがあった。「このアルバムによって、私が今イギリスにいる。」と。そして、この日本人のシンガーソングライターは、今NYCに住んでいて、ハウスのDJダニークリヴィットとつい先日結婚したんだよ、と。

 この写真は2009年12月のgirlのマスタリングのときのスタジオにて。左がダン。Soccer96を結成したばかりの頃。右はエンジニアのGeorge Lamburt(UNDERWORLDやTony Braxtonとも仕事してます!)
 
 そして、2010年に私はgirlをリリース。偶然にもその2ヶ月後、AKはNYC移住後のコラボレーションの集大成でベスト版をリリース。

 そしてまた時が流れ、2015年。今度はダンとダニーのコラボレーションが実現したのだ!柿原朱美さんに憧れてUKへ渡った私がダンと出会い、柿原さんはNYCでダニーと出会い、そしてダニーがUKの新進気鋭のデュオSoccer96を発掘し、リミックスを手がけた12インチレコードが日本の渋谷に置いてある!!類い稀なるセンスを持ったダニークリヴィットだから、また独自の世界観を持つSoccer96とつながるのは驚くことではないけれど、音楽と人のつながりがここまで美しく結ばれるものかとおもうと、感激が止まらない私。


2015-10-14-22-40-07 実は、現在進行中の2ndアルバムの制作。去年の春に再びUKへ渡り、レコーディングを行って来たはいいものの、その後のミックスの段階でどうしてもしっくり来ず試行錯誤を続けていた。作業段階でちょっぴり限界を感じてはいたけれど、5月のダンスパフォーマンスのサントラ制作で少し自信をつけたということや、今回のアルバムはgirlとは違ったサウンドアプローチをするためにスタッフを変えたという元々のいきさつから、何とか自力でやろうと思っていた。

 日本とUKで距離はあるけれど、私の行き詰まった様子はちゃんと伝わっているようで、ある時、再びダンにミックスをお願いするのはどうかという話が挙がった。「彼なら私の方向性を理解できるだろうから」と。私の気持ちも固まり、6月本当に久しぶりにダンに連絡をとった。Soccer96の活動も軌道に乗り、ヨーロッパツアーやBBCラジオに出演して多忙な中、私の音源を聴いてもらい、二つ返事でこの仕事を引き受けてくれた。そして驚くべきことに、数年前よりもかなりパワーアップしたサウンド作りとスピードで、あっという間に曲が生まれ変わった。これがダンマジック!"girl”制作中に何度も何度も魅せられたセンスとパワー、エネルギーは健在でした。やっぱりダンの音楽が私は本当に大好きです。だから、いつも曲が完成するとちょっぴり寂しくなります。あの音楽観を、制作の楽しさを、また次に感じられるのはいつになるだろうと。。。この色紙は、girlが完成した時に、本人へ贈ったもののレプリカ。久しぶりに掛けて気持ちを高めている。

ダンとマックスの最強デュオSoccer96。日本にツアーに来てくれる日は、そう遠くないと思う。UKのローカルバンドが、ニューヨーク在住のDJの手によって作品が世界に羽ばたき、インターネットによって瞬時に広がっていける、そんな時代。でも、こんな風に、時間をかけて結びついた素敵なつながりもある。かなり個人的な思いに拠るものだとしても、それに感動できる心は忘れずにいたい。
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